ドルチェ ヴィータ
世の中には2種類のお店があります
『お客さんに喜んで欲しい』が優先のお店
『お金儲けや自己都合』が優先のお店
日本の消費者のレベルはすさまじいほどに上がっています
お店側がいくらきれいな言葉やマーケティングで着飾っても
消費者からは腹の内を見透かされています
もちろん、どちらか一方だけでは経営は成り立ちませんから
自己都合と利他の気持ちをバランス取りながらやっていくのですが
根っこにあるのがどちらなのか?
消費者になってみると、よくわかってしまいます
私は欲張りなので
残された人生であと何百回、何千回?
できるかわからない外食
できる限り、『お客さんに喜んで欲しい』が根底にある
お店で食べたいんです
今回ご紹介するのは
戸塚区東俣野にあります
『ドルチェ ヴィータ』さん
奥様にお伺いしたところ
もう8年目だそうですが
私は今まで存在を知りませんでした
なんせ、とてもわかりづらい場所にあります
だって、こんな細い道を入っていくんですよ
軽自動車がギリギリ1台通れる道幅です
普通乗用車の方や運転に自信のない方は
近くの東俣野公園の駐車場などに停めて歩いていきましょう
お店につくと
お店というか、住宅、一戸建てです
看板が出てなければ、素通りしてしまいます
私たちが到着すると、奥様が出てこられて
『どうぞ、靴のままお入りください』
『ん、靴のまま? 靴を脱ぐ選択肢ってどんな?』
と思いながらも玄関の扉をあけると
その意味がすぐにわかりました
そう、一般家庭の玄関です
奥様の一言がなければ
『靴ぬいで入るのかなあ?』とふつうは思います
仕事で物件案内するときには
ここでスリッパを用意して、靴を脱いでという
動作が身についているので
『えっ、本当にこのまま入って大丈夫?』という気分になります
そして店内
もうおわかりかと思いますが
店内というか、LDKです
想像以上に『ひとのウチ』です
席に座って、キョロキョロしてみると
土足なのにこんなにきれい?
飲食店なのに全然油っぽくなってないし、においもない
8年やってるのに、新築くらいきれい
普段のメンテナンスや美意識が
座る前から感じられ、とてもうれしい気分になります
こういう細部に出ちゃうんですよ
『お客様優先か?自己都合優先か?』 が
メニューです
7品もあって、2800円(税込)
地鶏のコンフィーが食べたかったのですが
予約制のようだったので、次回は予約をして
地鶏のコンフィーも食べようと思います
(おいしいものとつかブランド に認定されています)
さて1品目
この日は玉ねぎのスープ
手作りの優しい味がします
続いてすぐに2品目
自家製コンフィチュールのブルスケッタ
サワークリームの上にコンフィチュールが乗っているだけの
シンプルなものですが、爽やかでとってもおいしかった
何のコンフィチュールかは、すいません、忘れてしまいました
3品目のフレッシュ野菜のコラーゲンサラダ
パフェではありません
戸塚町の『hitotsu』さんのスペシャリテもパフェ風のサラダでしたが
普通にサラダとして出される何倍もうれしいです
次はピザ
なのですが、その前にスプーンやフォークなどをセッティング
奥様は『シルバー』と呼んでいました
そっか、こういうお店ではスプーンやフォークを
シルバーと呼ぶんだ
奥様もマダムって呼ばないといけないかもしれない
話はそれましたが、マダムが言うには
このシルバーもお店の特注品で、女性用に少し小ぶりになっているそうです
お店の名前もシルバーに刻まれています
お店オーブンの時に悩んだ末に
思い切ってオーダーしたそうですが
そういう準備の時って商売でも一番楽しい時間なんです
わかるなあと共感しました
そしてピザ
そしてパスタ
と続きますが、パスタの写真撮り忘れました
この日のパスタはカルボナーラでしたが
一般的なものと違い、スープパスタ風の
あっさりしたショートパスタ
どれも手作りで、おいしくいただけました
ここまででおなかいっぱい
そしてデザート
いちごのショートケーキと
もう一つのなにか
ショートケーキのいちごも地元のいちご農園のものを使っていて
とてもおいしかったし
もうひとつの何かはメニューに載っていないけど
プリンが中に入っていて、シフォンケーキのようなもので
おおわれているデザートでした
『食べながら願い事をすると願いが叶う』
という説明は覚えているのですが、その説明の印象が強すぎて
名前を忘れてしまいました
とにかく、とっても美味しかったです
奥様、失礼、マダムは元パティシエのようで
ほかにも持ち帰りできるデザート類すべて美味しそうでした
そして最後にコーヒー
このコーヒーが素晴らしい
市販はしていない豆で、マダムの人脈で買えているそうです
日本でも有数のコーヒーブレンダーの方の豆だそうで
帝国ホテルとか、数件としか取引をしていないようです
時計を見ると14時
来店から2時間経っていました
同じ戸塚区なのになんて贅沢な時間だろう
最後のコーヒーを飲みながら
お客さんをもてなすって楽しいだろうなあ
なんて考えていました
『おもてなしの気持ち』『手作りのおいしさ』
どれも言葉にすると、どこにでもあるように感じてしまいますが
実際に体験すれば、その素晴らしさはわかります
なぜ働くのか?
みたいな本をよく見かけますが
きっとそう思う人って、お客さんを喜ばす快感を知らないだけなんだと思います
自己都合や金儲け優先が悪いわけではないでしょうが
本当の自分の喜びはそっち方面にはないし
一時的に満足できても、いずれむなしさに気づく時がきます
人間の貨幣経済の始まりは物々交換からです
『あっちの村のやつらがこんなモノくれた
おれらもあいつらがもっと驚くものを次は見せてやろうぜ』
みたいなことが発展して、今のお金の形にいきついたと
聞いたことがあります
人を驚かす、喜ばす
それは時代が変わっても、変わらない人間の根本なんだなあと
東俣野の片隅で感じさせていただきました